可愛がりたい、溺愛したい。
***
「はい、ドライヤーの準備できたからこっちおいでよ。俺が乾かしてあげるから」
ベッドに座ったまま、ドライヤーを手に持って、手招きをしている。
「い、いいよ。
自分で乾かすから。ドライヤーこっちに貸して」
「残念ながらドライヤーのコードそんな長くないんだよ。だからこっち来ないと、ね?」
「うぬ……」
警戒しながら、ちょこちょこと葉月くんに近づいて、ストンっと床に座った。
「ん、いい子じゃん。じゃあ乾かすね」
ドライヤーのスイッチが入れられて、気持ちいい風が髪にあたる。
ブラシもうまく使って、器用に乾かしてくれる。
「帆乃先輩はさー」
ドライヤーの音に負けないくらいに、大きな声で名前を呼ばれたので、首を少し後ろに傾けると。
「今も三崎先輩のこと好き?」
「な、んで……?」
たぶん今の声は聞こえなかったと思ったけど、耳がいいのか届いていたみたいで。
「いちおう先輩の気持ち、もっかい聞いておこうと思って」