可愛がりたい、溺愛したい。
「そ、それは仕方なかったから!
それに、葉月くん何もしないって約束してくれたから」
「……ほんと純粋だね、先輩は。
こんなところまた三崎先輩に見られたら次こそ幻滅されるのに」
「もう……依生くんはわたしのことなんて何とも思ってないし。
今まで幼なじみだから……そばにいてくれただけだから。きっとそれ以上の感情なんてない……っ」
自分で言っておいて、勝手に傷ついて涙が出てくるなんて。
「……そんなことないよ、たぶん。
焦ってたから」
「焦ってた……?」
さっきからところどころ、よくわからないことばかり言ってくるから会話が繋がらない。
「きっといま必死になってんじゃないかなー」
「……?」
「幼なじみこじらせると厄介なんだね」
「えっと……」
すると、いきなり玄関の扉が勢いよくドンッと開いた。
驚きながら、扉に視線を向けて目を丸くした。