可愛がりたい、溺愛したい。



「わたしのこと好きになってなんて……そんなわがまま言わないから……っ。

ちゃんと幼なじみやるから……、だからわたしのそばから離れないで……」


ほんとはうそ……。

こんなの口だけ。


ほんとはわたしのこと好きになって、わたしだけを見てくれたらいいのにって……。


抱きしめるのも、

触れるのも、

キスも、



ぜんぶ、わたしだけでいいのに……。


こんな欲張りな自分知らない、知りたくなかった。


依生くんのことになると、ここまで貪欲になってしまうから。



ずっとわたしの肩に頭を乗せて、顔を伏せたまま。


かと思えば、ゆっくり顔を上げて、わたしの瞳をしっかり見ながら。



「……そんなこと言われたら、離せなくなる」



どうして……


そんな苦しそうな顔をしながら言うの…?


やっぱりこんなこと言ったら迷惑だった…?

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