可愛がりたい、溺愛したい。



また、前みたいな結末でおわる予感がする。


だって、前と同じように"ごめん"って言いたそうな顔をしているから……。



「……ごめん」


あぁ……やっぱり何年たっても、この恋は叶うことはなかった。


いちばん聞きたくなかった。


結末は見えていたはずなのに、いざ目の当たりにしてみればダメージが想像していたよりかなりある。



瞳が涙でいっぱいになって、目尻からスッと流れ落ちる。


泣き顔なんか見せたくないと思うのに、それに反して涙が止まる気配はない。



「……泣かないで」


そんな無茶なこと言わないで……。

そんな優しい手つきで涙を拭わないで……。



「無理……だよ……っ。

だっていまわたし依生くんに振られたんだよ……?ここで笑顔になれるほど、わたしは大人じゃない……っ」


泣きながら、強く言い放ったと同時。





「━━━僕だって、大人じゃない」



優しく唇を塞がれた。

< 249 / 360 >

この作品をシェア

pagetop