可愛がりたい、溺愛したい。



一瞬、触れただけ。

伝わってくる熱と、柔らかさ。


前みたいな強引なキスじゃなくて、軽く触れて、すぐに離れた。


「なんで……キスなんかするの……っ。
こんなことされたら嫌いになれない……」


依生くんは言葉と行動が矛盾してる。


口では"ごめん"と言っておきながら、

こんな優しいキスを落とすなんて……。



「……嫌いにならないでよ。
帆乃に嫌われたら僕生きていけないよ」


「ま、またそんなこと……。
それは幼なじみとしてでしょ……っ」



「……違う。
僕は帆乃のこと幼なじみなんて見てない」


「い、意味わかんないよ……」


矛盾もいい加減にして…。

わたしの気持ちを弄んでるの?


耐えきれなくなって、その場を逃げ出そうとすれば、簡単に依生くんの温もりに包まれて……。



「……こわいから」


声は弱々しく……
身体を抱きしめる力は反対に強く……。



「自分の欲望だけで帆乃を壊しちゃうのが」

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