可愛がりたい、溺愛したい。



***


「あ、あの依生くん?
服着替えなくて大丈夫…?」


気持ちを伝えあってから少しの間、依生くんは何も言わずにずっとわたしを抱きしめたまま。


だけど、さっき葉月くんの家に来るまでに降っていた雨のせいで服がまだ濡れている。


このまま放置しておくと風邪をひいちゃうから、今さらながら着替えることを提案すると。



「あー、べつに大丈夫。
それより今は帆乃に触れたいから」


「で、でも…依生くんが風邪ひいたら会えなくなる…から」



「……会えなくなるのいや?」


「や、やだよ……」


「……かわいいなあ」


口元が緩みっぱなしの依生くん。



「僕も帆乃に会えなくなるのやだから着替えるよ」


「う、うん」


「あー、でも。風邪ひいて帆乃に看病してもらうのありかも。

この前の体育祭の時みたいに口移しで……」


「わー!!そ、それは忘れて……!!」


急にそんな恥ずかしい過去のことを言わないでよ…!

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