可愛がりたい、溺愛したい。



「あの時の帆乃積極的で大胆だったね。
すごく色っぽかったよ」


「っ、うっ……早く忘れてよぉ……!」


思い出しただけで顔から火が出そう。


「やだよ、忘れない。
もっかい意識失うくらいになりたい」


「それはダメ…!心配しちゃうよ」


本気で言ってるとは思わないけど、冗談でもそんな物騒なこと言わないでほしい。



「帆乃に心配してもらえるならいくらでも倒れたい」


「た、倒れたいって……ダメって言ってるのに!」


わたしだけがこんな必死になってるのに、依生くんはその様子をからかってる。



「だって帆乃にかまってほしーもん」


「倒れなくてもかまうもん…」


「へー、じゃあ着替え終わったらかまってくれる?」


「う、うん」


ここで軽く返事をするんじゃなかったって後悔するとは、この時のわたしは知るわけない。



「んじゃ着替える」


「ちょ、ちょっとまって!
わたし部屋出るから……!」

< 255 / 360 >

この作品をシェア

pagetop