可愛がりたい、溺愛したい。
手なんかつないで学校に行ったら一気に噂になりそうだし…。
極力目立つのは避けたいっていうか…。
「い、依生くんモテるから…。
わたしなんかと手つないでたら、その、いろいろ言われちゃうんじゃないかなって…」
「そんなこと気にしないのに。
もし言われたとしても放っとけばいいし」
「で、でも……」
「彼女と手つなぐのダメなことなの?」
「うっ……」
未だに彼女って響きが慣れないし、
そんなねだるような瞳で訴えられたら断れそうにない。
「じゃあ駅までにしとく?」
「い、いいの?」
「よくよく考えたら変に目立つと帆乃を見る男も増えるわけだし。それいやだから」
とりあえず、学校の駅の最寄りまではずっとつないだまま。
門に入るころには、前と変わらず隣で並び歩くだけ。
さっきまでつながれていた温もりが少し恋しく感じたり。
……って、自分から拒否しておいて、そんなこと思うのってすごくわがままだ。