可愛がりたい、溺愛したい。
そして授業が始まって、だらだらと黒板にわけのわからない英語の文章が書かれていくのを板書する。
わたしがいるこの学校はいちおう世間では結構頭のいいレベルなわけで。
授業の進み具合もすごく早いし、今も先生が英語でペラペラ何か話しているけど黒板を見て書いて、耳で話を聞く、両方のことが同時にできないわたしにはかなりつらい。
隣にいる依生くんは頬杖をついて、つまらなさそうに授業を聞いている。
ノートは何も取ってない。
それなのに、いつもテストでは全教科ほぼ満点に近い点数を取っちゃうから天才肌なのかなぁ……なんてことを考えて気がそれていると。
「じゃあこの文章を英訳して。はい、じゃあ芦名さん前に出てきて書いてください」
えっ、うそ。
なんでこういうときに限って当たるのかなぁ……。
急いで黒板の問題を見るけど、辞書を引かないととても解けそうにない。