可愛がりたい、溺愛したい。
だけど、先生と周りの雰囲気からそんな時間はなそうに感じてしまう。
すると。
「ペンと紙、貸して」
隣から依生くんの声がして、自分が使っていたシャープペンとルーズリーフを渡した。
そして数秒もしない間に私の手元に返ってきて。
「困ったら僕のこと頼ってって言ってるのに」
そう言いながら戻ってきたルーズリーフには綺麗な筆記体で英文が書かれていた。
「えっ、あっ……」
「ほら、早く書きにいったほーがいいよ」
コクリと首を縦に振って、急いで黒板に依生くんが解いてくれた答えを書く。
もちろん、その答えは合っていて。
席に戻ると、依生くんは優しく笑いながら。
「僕がいるんだから。
困ったらちゃんと言わなきゃダメだよ」
「あ、ありがとう…っ」
ほんとに、ほんとに依生くんはなんでもできてしまう。
今だって授業を聞いてるそぶりはなかったのに、簡単に問題を解いちゃう。