可愛がりたい、溺愛したい。
「ふーん、それで放課後しばらくバイトなの?」
事情を話すと、まだ不満そうな顔をしているけど、困っていることを伝えると渋々折れてくれそうな雰囲気。
「うん、しばらくは。
あ、でもね仕事はそんなに難しくなくて、しかもね制服あるんだけどすごく可愛いの!」
薄いピンクのシャツに、赤いネクタイと同じ色の帽子があって。
一度でいいからこういう服を着てバイトしてみたいなぁとか思ってたから。
「……は?なにそれ。
それ着てケーキ売るの?」
「うん」
「……最悪。
そこのケーキ屋のケーキぜんぶ買い占めて店終わらせたい」
「えっ!?
依生くんってそんなケーキ好きだった!?」
「べつにケーキは好きじゃないけど……。
……心配でしかない」
頭を抱えて、困った様子の依生くん。
「ぜったい変なやつに絡まれたら断らなきゃダメだからね」
「そんな変な人来ないと思うよ?
来るのは常連さんばっかりみたいだし」