可愛がりたい、溺愛したい。



今までネクタイなんてものを結んだことがないので、とりあえず頑張って思うようにやってみるけど、全くうまくいかない。


ふと、依生くんの制服姿を思い浮かべる。


いつもネクタイを結んでいるから、その姿を想像してやってみるけど、さっぱり。



こんなところで時間をかけるわけにはいかないので、仕方なく表にいる浅川さんを頼るしかない。



「あ、あの、浅川さんすみません」


「ん、どうかした?
もう着替え終わったかな?」



「それがネクタイがうまく結べなくて…」


「あ、そーなの?
そういえば制服リボンだったもんね。いいよ、俺がやってあげるからこっちおいで」


襟元にネクタイをシュルッと通して、慣れた手つきで結んでくれた。



「早速ご迷惑おかけしてすみませんでした…」


「いいよいいよ、気にしないで。
ネクタイなんて普段しないと結べないよねー」


今度依生くんにネクタイの結び方教えてもらおう…。

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