可愛がりたい、溺愛したい。



その事実を告げると、「……は?」と拍子抜けしたような声が出て、


前髪をくしゃっとかきあげて、「……最悪、何そのオチ」と言いながらプイッと顔をそらした。


「もしかして浅川さんのことで拗ねてたの?」


肩を指でツンツンすると、ゆっくりこちらに顔を向けながら。



「……そーだよ。
帆乃に絡んでくる男は全員消してやりたいって思ってるし」


なんだかとても物騒な言葉が返ってきた。



「ほんと……帆乃のことになると余裕ない」


そう言いながら、わたしの腕をつかんで自分のほうへと抱き寄せた。



「ヤキモチ……焼いてくれたの?」


「そりゃ妬くでしょ。
嫉妬でおかしくなって死ぬかと思ったし」


「えぇ、そんなに?」


いつもは、わたしのほうが余裕がなくて、いっぱいいっぱいだけど、今はそれが逆転してたり…?

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