可愛がりたい、溺愛したい。
「はぁ……っ」
息苦しくなんてないのに、なぜか苦しそうな声が漏れてしまった。
「ん、できた。
けっこう綺麗についた」
「なに、つけたの……?」
「キスマーク」
「……きす、まーく?」
一瞬、理解できなくて、
思考が停止しかけたせいで、間抜けな声で答えてしまった。
「見てみる?
けっこう綺麗に紅く残ったけど」
「…っ!?」
ようやく理解が追いついて、すぐに首元を自分の手で覆った。
「えー、なんで隠すの?」
「恥ずかしい……から!」
そもそも、なんでこんなさらっとできちゃうの…!
依生くんはいつもそう。
キスだってうまいし、慣れてる。
触れ方だって、手慣れているように感じる。
今だって、ふつうにキスマークってやつをつけたわけで…。
あわてるわたしとは対照的。
どうしてわたしばかりが、こんなに余裕がないんだろう…?