可愛がりたい、溺愛したい。
外に出ると、とても寒いけど今日の部屋着はモコモコしていて暖かいし、それに依生くんの家までなんてすぐだし。
上着も羽織らずに、紙袋だけを手にしてインターホンを押すと、数秒後中から依生くんが出てきた。
「……は?何してんの」
「お母さんから届け物頼まれて。これ、結衣さんに渡してほしいって」
紙袋を手渡すと、依生くんから大きなため息が送られてきた。
「……なんでそんな無防備な格好で外出るの。
変なやつに捕まったらどーするの?」
「あ、近いからいいかなって」
「よくないし……。ってか、連絡くれたら僕が取りに行ったのに。寒くない?」
少し冷え切った頬に、依生くんの温かい手が触れた。
一瞬触れただけなのに、尋常じゃないくらい、そこだけ熱を感じてしまった。
前は、こうして触れてくれるのは当たり前だったのに。
「……さ、寒いから、少しだけお邪魔してもいい?」