可愛がりたい、溺愛したい。
***
あれから見事惨敗に終わってしまったわたしは大人しく家へと帰った。
「はぁ……もうやだなぁ……」
「どうした帆乃ちゃん!お悩みかい!」
放課後の教室にて。
思わず漏れてしまったひとり言を聞き逃さなかった明日香ちゃん。
「お悩みだよぉ……。
もう依生くんがよくわかんない」
机にペシャンとおでこをつけて落ち込みのポーズ。
「まさか三崎くんが何かやらかしたの!?」
「やらかすどころか、何もしてこないから悩んでるの……」
浅川さんに話したように、明日香ちゃんに事情を話すと、ふむふむと相づちを打って聞いてくれた。
「もうわたしのことなんて興味なくなったのかなぁ……」
「いやいやいや!三崎くんに限ってそれはないよ!あれだけ帆乃ちゃんのことだいすきで、手放さないんだもん!
三崎くんが帆乃ちゃんに素っ気ない態度取るなんて、珍しいこともあるんだね。何考えてるんだろう?」