可愛がりたい、溺愛したい。
う、うそでしょ。
今いちばん会いたくないのに、よりにもよって今日泊まりに来るなんて……。
スマホをベッドに落として、今さらながらどうしようってあわてていると。
開くはずのない、部屋の扉がガチャッと開いた。
「え……!?」
まだ電気もつけていない状態で、いったい誰だろうと思い、焦った声をあげたと同時、部屋の電気がパッとつけられた。
……依生くんの手によって。
「こんな真っ暗な部屋で何してたの?」
「な、なんでここに……」
「帆乃のお母さんから連絡あったから。今日家空けるから帆乃のことよろしくって。
インターホン鳴らしても出てこないし、鍵開いたままだったから」
我ながらとても不用心だと思った。
鍵開けたまま、すっかり眠っていたなんて。
「今日……、ほんとに泊まるの?」
「うん、もちろん。
1人で何かあったら危ないから」
ここで、変に断ったらなんで?って聞かれると思ったから、これ以上は何も言えなかった。