可愛がりたい、溺愛したい。



う、うそでしょ。

今いちばん会いたくないのに、よりにもよって今日泊まりに来るなんて……。


スマホをベッドに落として、今さらながらどうしようってあわてていると。


開くはずのない、部屋の扉がガチャッと開いた。


「え……!?」


まだ電気もつけていない状態で、いったい誰だろうと思い、焦った声をあげたと同時、部屋の電気がパッとつけられた。


……依生くんの手によって。


「こんな真っ暗な部屋で何してたの?」


「な、なんでここに……」


「帆乃のお母さんから連絡あったから。今日家空けるから帆乃のことよろしくって。

インターホン鳴らしても出てこないし、鍵開いたままだったから」


我ながらとても不用心だと思った。

鍵開けたまま、すっかり眠っていたなんて。



「今日……、ほんとに泊まるの?」


「うん、もちろん。
1人で何かあったら危ないから」


ここで、変に断ったらなんで?って聞かれると思ったから、これ以上は何も言えなかった。

< 348 / 360 >

この作品をシェア

pagetop