可愛がりたい、溺愛したい。



……なんで押し倒されてる?


それに、押し倒してきたくせにわたしを見つめたまま何も言わない、触れない。


ほんとになに考えてるのかわからない。


そして、見つめ合うこと数十秒。


上に覆いかぶさっていたのに何もしてくることはなく、そのままわたしの隣にドサッと倒れ込んだ。



「んじゃ、寝よーか」


まるで今の出来事は何もなかったかのように、背中を向けて寝ようとする。


だから、思わずその大きな背中にピタッとくっついた。


「……なーに」


「な、何もしない……の?」


「……何かしてほしーの?」


してほしいっていうか……、全く触れてもらえないのに耐えられないだけで。


「さ、最近の依生くん……全然わたしに触れてくれないから……。

もしかして、わたしなんかに興味なくなって、飽きちゃったのかなって……」


情けないけど、声が震える。

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