可愛がりたい、溺愛したい。



「い、依生くんが……しい…です」


「んー、聞こえないからもういっかい」


少しは手加減してくれてもいいのに、全然優しくない。


「依生くんが……もっと、欲しい……です」



「……ふっ、よく言えました」


「っ……」


いつだって、主導権はぜったい依生くんが握ってる。これが逆転することはほとんどないって証明されたみたい。



「……じゃあ、何して欲しい?」


「ギュッて、してほしい……」


「ん、じゃあおいで」


久しぶりに感じる依生くんの体温と、甘い匂い。

これだけで、すごく心地よくて。


だけど、もっともっと、

触れて欲しくなる欲張りな自分。



「他にしてほしいことある?」


たぶん、今の依生くんはわたしの口から言わない限り何もしてくれない。


だから……



「……キス、してほしい、です」

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