可愛がりたい、溺愛したい。
「え……っ?」
ボソッと聞こえた声に耳を疑った。
「帆乃以外の女の子なんて眼中にないし、同じ空気も吸いたくない。ってかみんな同じ顔にしか見えない」
抱きしめ方が、大切なものを包み込むみたいに優しい。
「わがまま……とか思わないの?」
「思わないよ。ってか、それがわがままならいくらでも聞いてあげる」
さっきまでイジワルだった依生くんはどこかへいって、いつもの優しい依生くんに戻っていた。
「わたし、依生くんいないとダメだよ……っ」
ほらまたこうやって、
自分の中にある、あざとさが発動する。
何もできないわたしのそばにいてくれるのは、依生くんだけなんだよって。
「それでいーよ。
そーやって僕のことで頭いっぱいにして。
他の男のことなんて考えないで」
お互いがこんなに求めているのに、
幼なじみから進展しないもどかしさに襲われながら、その日は眠りについた。