可愛がりたい、溺愛したい。



「だ、ダメだよ!わたしが怒られちゃうもん!
それに古川先生1人で大変だからお手伝いしないと」


「ふーん。
ほんと帆乃は優しいね」


するとわたしから離れて立ち上がり。


「んじゃ、先帰ってるから」


なんとか納得してくれて、
よしっ!って思っていたら。


誰にも聞こえないように、そっと耳元で。


「……帰ったら帆乃のことたくさん
独り占めするから」


「っ!」


また、たまに見せるイジワルな顔に不意打ちにドキッとさせられたのは、ぜったいに内緒。



***



依生くんと教室で別れてから急いで保健室へと向かう。


ガラガラっと扉を開けて中に入ってみると古川先生の姿があって。



「あ〜、芦名さん!!待ってたわよ!
わたしね今からちょっと緊急で会議に入らないといけなくて。保健室の当番よろしくね!」


「あっ、わかりました!」


古川先生はあわてて保健室から出て行き、1人残ったわたしはイスに座って窓の外を眺める。

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