可愛がりたい、溺愛したい。



あっ、もしかして少し機嫌が悪そうに見えたのは晩ごはんの時間が遅れてるからとか?


いつもはもっと早い時間に支度して、この時間だともう食べ始めているし。


依生くんと一緒に住み始めてから、家事はほとんどわたしがやっている。


もちろん、ぜんぶわたしに任せるのではなくて、依生くんもできることは手伝ってくれている。


何もできないわたしだけど、家事全般は昔からお母さんの手伝いをしていたので、ひととおりのことはできるほうだと思う。


リビングの扉を開けて、急いでキッチンに立って料理に取りかかろうとすると。



「ほーの」


「うわっ、びっくりした!」


キッチンでエプロンをしていると、後ろから依生くんが抱きついてきた。


「なんで僕のほうにこないでキッチンいくの?」


「だって晩ごはんの時間遅れちゃってるし……。
依生くんお腹すいてないかなって」

< 69 / 360 >

この作品をシェア

pagetop