可愛がりたい、溺愛したい。



「あっ、依生くん待たせてごめんね。
先食べててくれてよかったのに」



急いで依生くんが座るイスの隣に腰掛ける。



「いーよ。帆乃と一緒に食べたいから待ってた」



相変わらず笑った顔はどこかの国の王子様みたい。



すると、そんなやり取りを見ていたわたしのお母さんが。



「もう、依生くんは本当に帆乃に甘いのね〜。
毎朝このねぼすけさん起こすの大変でしょ〜?」


やれやれと、呆れた様子。



「可愛い寝顔見れるんで僕的には得してますよ」



またそういうセリフをさらっと言うから、受けるこっちの身にもなってほしい。



「やだ〜、帆乃あなた依生くんみたいにこんな素敵な幼なじみ持って幸せよ〜?お母さんと結依ちゃんに感謝しなさいよ〜?」



結依ちゃんとは、依生くんのお母さんのこと。



わたしのお母さんと依生くんのお母さんは高校の同級生で。


今こうして隣同士に住んでいるのは本当に偶然。

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