可愛がりたい、溺愛したい。



「お腹すいた」


「う、うん。だから今から作るね?」


「帆乃のこと食べたい」


「うん。……んん!?」


わたしを食べるってどういうこと…!?



「僕いまお腹すかせたオオカミなんだよ」


「わたしは食べても美味しくないよ?」



「んー、ぜったい甘いよ。
たぶん止まんなくなるくらい、夢中になるから」



いまいち会話が噛み合ってないような……。


「と、とりあえず今から準備するね?」


「ん、じゃあずっと帆乃にくっついてる」


「えぇ……」



なんだかやっぱり依生くんの様子がおかしい。


2人の時は甘いけど、
今日は甘さが増して、ひっついたまま離れてくれそうにない。



「うっ、これじゃ料理できないよ!」


キッチンに立って野菜を切っているわたしの後ろでは、ガッチリひっついたまま離れない依生くん。

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