可愛がりたい、溺愛したい。



「僕のこと気にしなくていいから」


気にしなくていいって言われたって……。


好きな人がこんなふうに近くにいて、気にならないわけがない。


お腹のあたりに依生くんの腕がしっかり回ってきているから、身動きが取りにくいし、ひたすらドキドキと戦いながら料理をしなくてはいけない。



「なんかさー、帆乃少し痩せた?」


依生くんの大きな手が平気でわたしのお腹を触る。



「ちょっ、やだっ!触らないで!」


いくらなんでもこれはやりすぎ……!!


「なんで?
いーじゃん、帆乃だから触りたいのに」


「やっ、太ってる……から!
それにくすぐったいからやめてほしいの」



どの理由も本当だけれど、
いちばんの理由は、依生くんに触れられるのが我慢できないから。


恥ずかしくて耐えられっこない。

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