可愛がりたい、溺愛したい。
「あの子さっきからずっと教室の中覗いてるよね。誰かに用事かなぁ?1年生っぽいけど」
「……えっ、あっ、葉月くん!?」
姿を見つけて反射的に大きな声を出してしまい、明日香ちゃんは驚いた顔をして。
わたしの声に気づいた葉月くんとバッチリ目があった。
そして、口パクでわたしの名前を呼びながら、こっちに来てと手招きしてくる。
「あの子が噂の葉月くんか〜!
たしかに可愛い感じの子だね!帆乃ちゃん呼ばれてない?」
「あっ、うん。
何か用事かな。ちょっと行ってくるね」
自分の席から立ち上がって、急いで葉月くんがいるほうへ向かう。
「あー、帆乃先輩お久しぶりー」
「お久しぶりって、先週ずっとわたしの仕事邪魔しに保健室来てたじゃん…!」
「邪魔ってひどいなあ。
会いたいから来てるのに」
フッと笑いながらわたしの髪に手を伸ばして指でくるくるして遊んでくる。