可愛がりたい、溺愛したい。
「ちょっ、そんなに触らないで!
髪ぐしゃぐしゃになったら結い直さないといけないんだから…!」
今日も変わらずいつもと同じ下の位置に2つ結びをしているから、崩されて結い直すのはごめんだよ。
「んー、俺は帆乃先輩が髪おろしてるの好きだなあ。あとメガネとった顔も」
にこにこ笑った顔を崩さないまま、わたしのメガネに手を伸ばしてきたので、阻止するためにその手をつかむと。
「わー、積極的だね。
先輩のほうから手握ってくれるなんて」
わたしがつかんだはずなのに、逆転して今はわたしが葉月くんに手をつかまれている。
可愛い顔をしていても、力の強さは男の子。
「ねー、先輩。
せっかくだから今から2人で授業さぼろ?」
つかまれた腕を引かれて、連れ出されそうになるのを止めるために。
そんなことできないって拒否する前に━━。
「僕の帆乃をどこに連れて行く気?」