可愛がりたい、溺愛したい。
急に後ろから強い力で引かれて、声の主のほうへと身体がもっていかれる。
「帆乃、ダメでしょ。
よく知らない男に簡単についていこうとしちゃ」
首をくるっと後ろに向けると、そこにいたのは依生くんで。
顔色をうかがうと、葉月くんのほうを鋭い目つきで睨んでいるのがわかる。
「よく知らないなんて失礼ですね。
俺と帆乃先輩けっこう仲良いんですよ?」
「へー、それはキミの勘違いとかじゃなくて?帆乃は誰にでも優しいからね、勘違いしてるのかな」
依生くんの話し方はいつもと変わらないように感じるけど、どことなく怒りを抑えているような……。
すると、葉月くんの目線がわたしのほうを向いた。
「ねー、帆乃先輩。
この人が前に言ってた幼なじみ?」
「あっ、うん。
幼なじみの三崎依生くん」
「ふーん、この人が幼なじみね」
葉月くんの目線がすぐに依生くんに移った。