可愛がりたい、溺愛したい。
あれ?なんで今日に限ってこんなにいろいろ念押ししてくるんだろう?
それに緊急の用があったら戻ってくるって、どこかに行くんだろうか?って考えている間にお母さんはササッと支度をして家を出て行った。
結局何も聞くことができないまま。
っと、こうしちゃいられない。
わたしも早いところ食べないと遅刻してしまう。
ゆっくりしている間にも時計の針は進んでいる。
朝ごはんをほっぺに詰めるように食べて、牛乳で流し込む。
「そんなたくさん食べて苦しくない?」
「うん、大丈夫っ!」
「ふっ、今の帆乃ハムスターみたいで可愛い」
すると、依生くんの綺麗な指先がわたしの口元に伸びてきて。
「口にパンくずついてる」
唇の真横を依生くんの親指がすれた。