私、強引で甘く一途な御曹司にドキドキさせられっぱなしです!
『あ、はい』


資料を用意しながら顔を上げると、そこにはさっき紹介された本宮さんがいた。


『ちょっといいか?』


私の顔をのぞき込むように言う。


『え、あっ、何でしょうか?』


ち、近いんだけど…


この距離で、私の顔を見ないで欲しい。


あ…


ふんわりといい香りがする…


ツンとしない優しい香りだ。


『名前教えて』


『あ…も、森咲です』


『苗字は聞いてない』


切れ長の綺麗な目、整った眉、鼻が高くて、唇は薄め…


本宮さん…


あなたは、なぜモデルにならなかったの?


って、聞きたくなる。


『森咲…恭香です』


『わかった』


ん?何が起こった?


本宮さんは、それだけ聞いてさっさと行ってしまった。


私は、数秒固まって、我に返った。


『今の、何だったの…』


あまりの出来事に、思わず小声でつぶやいてしまった。
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