私、強引で甘く一途な御曹司にドキドキさせられっぱなしです!
『もしもし、僕、ここを通りかかって、それで救急車を呼ばせてもらいました。いま、ぐったりされてます。あ、救急車来ました』


誰かが、通りかかってくれたんだ。


良かった…


でも、ぐったりって?


朋也さん…大丈夫なの?


状況が見えなくて、すごく不安で怖いよ。


どうして?


誰かに刺されたって…


いったい、誰に?


私は、電話をスピーカーフォンにし、通話状態にしたまま、すぐに着替えた。


『すみません、この電話繋がってますか?』


携帯の向こうから、誰かの声がした。


『はい!繋がってます』


『御家族の方ですか?』


『…いいえ…あ、友人です』


友人…仕事仲間…


私は、朋也さんの家族でも、彼女でもないんだ。


『いま、救急車で応急処置中です。病院に来れますか?』


『もちろん行きます!朋也さんは、大丈夫なんでしょうか?』


『今、意識はありません。一刻を争います。落ち着いて病院の方によろしくお願いします』
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