私、強引で甘く一途な御曹司にドキドキさせられっぱなしです!
『…』


あれ?


本宮さん、何も言わない…


本当に何を考えてるのか、わからない人だ。


クールとか、ミステリアスとか…


そんなたぐいの人、正直、苦手なんだけど。


やっぱり私は、一弥先輩みたいに明るくて優しい人が…


って、ダメダメ、先輩のことは考えちゃダメ。


もう…


私は完全にフラレたのに、どうして先輩のことばっかり考えちゃうの?


『恭香、何を考えてる?』


その言葉で、頭の中から一瞬で一弥先輩が消えた。


『別に何も。あ、本宮さん、その資料違いますよ』


『だから…朋也』


『あっ…』


『二人の時は、朋也って呼んでくれって言ったよな』


怖い、言い方が怖いよ。


『でも、やっぱり先輩だし、社長の息子さんを呼び捨てとか…』


『それは関係ないって言っただろ。本当に…朋也って呼んで欲しいんだ』


どうしてそこまで名前にこだわるの…?


でも、そこまで言われたら…


仕方ないよね。


『…と、朋也…さん』


ダメだ、顔から火が出そうなくらい恥ずかしい。
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