私、強引で甘く一途な御曹司にドキドキさせられっぱなしです!
嘘…


思ってた程スペースは空かなかった。


ほとんど体制は変わらない。


まだ、本宮さんの右手が離れないまま、ガタンゴトンと音を立てて、また電車がゆっくりと動き出した。


ほんの少しだけ顔をあげて見ると、周りの人達は、仕事終わりでみんな疲れているようで、下を向いて目を閉じていたり、暗くなった窓の外をボーッと見たりしていた。


私達を見ている人は…


たぶん、いないと思う。


その時、本宮さんの手が背中から離れて、私の頭のところに来た。


え…


開いた大きな手で、私の髪をなでるように優しく触った。


その思わぬ行動に、一瞬ドキッとして…


息が上手く吸えなくなった。


これ…


きっと、他の人に突然されたら、ちょっと気持ち悪いことかも知れない。


でも、本宮さんは、それをすごく自然にする。


女性の扱いに慣れてるのかなって、少し思ったけど…


だけど…


こんな風にされても、正直嫌じゃなくて…


私のドキドキが、ますます加速していったんだ…
< 50 / 235 >

この作品をシェア

pagetop