私、強引で甘く一途な御曹司にドキドキさせられっぱなしです!
あれは、恭香がまだ入社して間もない頃だった。


当時、父さんに呼ばれて、会社に行くことがたまにあった。


俺は、カメラマンとして、いろいろ経験を積んで、同時に経営学なども学んでいた。


いずれは…


父さんが死ぬ思いで築いた文映堂を、一人っ子の俺が跡を継いで守らなければ…


そう強く思っていた。


たまに会社に行って、会議に出たり、取引先の役員に顔つなぎをしてもらったり、将来に向けての修行…も始まっていた。


俺のことは、会社でも役員クラスのごく一部の人間しか知らなかったと思う。


ある日、俺は会議に参加しようと、部屋に向かっていた。


その時、一人の可愛い女性に出会った。


と、言うか、俺が一方的に見てたんだ。


その女性は、事務の仕事をしてるのか、会議に出すお茶を給湯室で入れてくれていた。


『ちょっと!何してるの、ちゃんとしてよ!』


先輩なんだろう…


冷たい声で、その女性を叱りつけている。


『すみません…入れ直します』
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