ナマイキ男子

流星くんを好きなことは秘密だ。


叶わなくてもいい。頑張らなくてもいい。


って思っているから。


「あ、千夏せんぱーい」

「……なんですか?」


犬のように髪の毛をフワフワさせた1年生がなぜ2年の教室にいるのか。


鳴瀬がやってきてからうちのクラスの女子が騒がしい。


「携帯忘れてたよ」

「……あ、携帯ない」

「今気づいたの?さすがにババアじゃん」


鳴瀬に苦笑された。


連絡をマメにとる方ではなく、友だちも多い方ではないので、携帯を見るのは一日一回くらい。


本気で気づかなかった。


「携帯電話の意味知ってるー?
俺携帯なきゃ暇すぎて死ねる」

「……」


絡んでくるな。


「おー鳴瀬じゃん」

「…げ。何してんすか」


突然の流星くんの登場に驚きすぎて息をするのを忘れた。


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