好きになるには理由があります
 条子(ながこ)に怒られないよう、普段使ってない和室で子ども用の柔らかなボールをつく。

 弾みにくいのでやりにくいな、と思っていたが、慣れてくると単調なので、いろいろと考えごとを始める。

 支社長、引き受けてくれたけど、忙しいのに大丈夫かなーとか。

 杵崎さん、巫女好きだってくらいだから、実は神楽とかにも興味があって。

 本当はやりたかったとか?

 などと考えながら、機械的にマリをつき、『さ』のところで足を上げては、その下でマリをくぐらせる。

「煮てさ

 焼いてさ

 撃ってさ

 撃ってさ

 撃ってさ……」

「深月、たぬきがハチの巣になってる!」
と空太に叫ばれたとき、

「ご飯よー」
と条子の声がした。





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