好きになるには理由があります



 そんな話をしているうちに、すぐに順番が来て、クレープを手に席に着く。

 太い柱の側に座り、深月は笑って言った。

「美味しいですね。
 あの移動販売のクレープだけ美味しいのかと思ってたけど。

 何処のでも美味しいですね」

「最初に食べたのが、余程、まずかったんだな……」
と陽太が言ったとき、柱の向こうで話している声が聞こえてきた。

 可愛らしい女性の声だ。

「この間、親戚の子となぞなぞして遊んでたんですよね。

『切れないハサミってなーんだ?』
 って訊いたら、

『板ばさみ』
 って。

 ……小学生になにがあったんでしょうね?
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