好きになるには理由があります
 視線を追った陽太は、
「コンタクトを外せっ」
と言ってくる。

「いや、それだと私が見えてないだけですよね」
と言うと、

「仕方のない奴だな」
と叱りながらも、陽太は、そっと深月の頬にキスしてきた。

 陽太の口調は強かったが、その口づけは、小鳥のように怯え気味で穏やかだった。

 深月は笑ってしまいそうになる。

「……おやすみなさい、支社長。
 今日はありがとうございました」

 少し笑ってそう言うと、

「外では支社長はよせ」
と陽太は照れたようにこちらを見ないまま、言ってくる。

 なので、
「じゃあ、船長。
 ありがとうございました」
と言ってみたのだが。

「……いや、それもやめてくれ。
 全然、距離感縮まった気がしないから」
と陽太は言ってきた。




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