好きになるには理由があります
いつ、いつ出ればいいのでしょうかね? 我々は。
コミュニティセンターの片隅で、深月は近所のおばちゃんたちと話しながら、ハラハラしていた。
これ以上遅くなると、もう帰ってこれなくなるよなー、と思いながら時計を見る。
陽太が、
「お前にピッタリな滝行の場所を見つけたぞっ。
八時に出ればギリギリ間に合うっ」
と言っていたのだが、そろそろ八時だ。
今日は幸い、練習に早めに参加できて、陽太の出番も自分の出番ももう終わったのだが。
やはり、片付けまで居るべきなのでは?
と深月は迷っていた。
陽太は陽太で、おじさんたちに捕まり、熱のこもった指導を受けている。
陽太が何処に行くつもりなのかよくわからないが、そろそろタイムリミットだ。
普段はちゃんと片付けて帰っているし。
用事があるときは、途中で抜けてオッケーなことになっているのだが。
二人同時に抜けるのは明らかに怪しい。