好きになるには理由があります
「もっと大きな船を買おう」

 上を見たまま陽太が言い出す。

「え?」

「だって、家族が増えるかもしれないだろ?」

「いや……家は買わないんですか?」

 その勢いに、貴方、此処に住む気ですか、と思ったのだが、陽太は更に、
「そして、この船で、子どもたちを学校に送るんだ」
とまで言い出した。

「……絶対、港からの方が遠いと思いますね」
とか言ってるうちに、夜が明けた。




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