好きになるには理由があります
 っていうか、それ、何処で着るつもりだったんだと思っていると、也美に、

「うそっ。
 それ、どんなのがあるの?」
と他の部署の可愛い顔をした男が訊いていた。

「え? 定番ミニスカポリスとか。
 ムチとか仮面とか、ナース服とか。

 あ、今どき女子高生の制服とか」

 おー、と男性陣が盛り上がる。

「なんかあれはあれでよかったんじゃない?」
とそちらを見ながら、既に呑むことに専念している由紀が言う。

 よかったのか……?
と深月が思ったとき、沙希が、

「そうだ。
 私、清春さんにしよっと」
と突然言いだした。

 ええーっ? と深月が見ると、
「なによその顔。
 私が姉では嫌だとでも?」
と脅してくる。

 地獄耳の万理が、
「ちょっと待ちなさいよっ」
と聞きつけ、割り込んでくる。

「あんた、清春の側に行くのには、我々、美貌の人妻による清春ファンクラブの許可がいるのよっ」

「だから、人妻なんでしょ、あんたたちーっ。
 あんたたちのせいで、清春さんが今まで決まらなかったんじゃないのっ?」

「なに言ってんのっ。
 深月のせいに決まってるでしょっ」

 私は邪魔してませんが……と思っている間に、杵崎が現れ、テレビも始まった。
< 482 / 511 >

この作品をシェア

pagetop