好きになるには理由があります
ある日の支社長室
「で、日にちが変更になるそうなんですが。
すぐに連絡が入ると思います」
ある晴れた日の午後、深月が支社長室で陽太にスケジュールの変更を伝えていると、深月のポケットの中でスマホが鳴った。
「あ、堂端さんかもしれません。
日程が決まったのかも」
と深月はスマホを手にした。
が、画面を見た深月は、つい、笑っていた。
「……どうした?」
と訊く陽太に深月はスマホを見ながら言った。
「いや、鈴ちゃんがご主人になにか買って帰るものあるかってメールで訊かれて。
あ、ちょうどよかったと思って、
『アリの巣コロリ!』
って入れたつもりが、
『アリの巣殺す!』
になってたって」
「あんまり間違ってない気もするが……。
あの人、もう音声入力やめた方がいいんじゃないか?」
っていうか、仕事しろ、と陽太に言われる。