好きになるには理由があります
そのあと、深月は川久保と二人で社食に行った。
窓際の席で工場と港を眺めながら話しているとき、ふと、川久保が言ってきた。
「陽太を頼むな、深月さん。
昔から、なんでもとりあえずは大人に逆らう奴だったが。
今でも、あんまり変わってないから」
と子どもはとりあえず、大人に従うのがいいと思っているらしい川久保は言う。
「だから、あいつは時折シメてやらないと。
此処はわしらの目は届かないから、あんたがシメてやれ」
と言われた。
なるほど。
いいクソジイさんだ。
「はい」
と深月は微笑んだ。