好きになるには理由があります
勝と良彦も仲はいいが。
なにもわだかまりがないわけではないだろう。
二人とも、神楽に参加しないのがその証拠だ。
神楽団は、勝や良彦、条子にとっての青春そのものだったようだから。
いろいろあった過去の思い出を振り返りたくないのだろう。
でも、酒呑んでるときは、なんのわだかまりもなく楽しそうなんだけどな~、と漏れ聞こえてくる勝たちの笑い声に、深月は思う。
そのとき、清春がなにかを決意したように、
「深月、たまには二人で出かけるか」
と少し明るい声で言ってきた。
え? と振り返ると、
「いや、結婚したら、そういうこともなくなるかと思って。
何処か休みの日に、近場にでも」
と言う。
ちょっとだけ、陽太が現れる前の清春に戻った気がした。
そうだねー、と言いながら考えた深月は、
「あっ、そうだ」
と言った。
「山の中のパン屋さんに行こうよ。
この間、タウン誌に出てたんだよ。
ちょっと変わったパンがいろいろあるんだって。
見たことも食べたこともないようなパンがいっぱいあるって」
と笑ったが、
「いや……。
見たことも食べたこともないようなパンは嫌かな」
と清春は言う。
……どんなの想像してんだ。
そのまましばらく、母屋の笑い声を聞きながら、昔話などして過ごした。
なにもわだかまりがないわけではないだろう。
二人とも、神楽に参加しないのがその証拠だ。
神楽団は、勝や良彦、条子にとっての青春そのものだったようだから。
いろいろあった過去の思い出を振り返りたくないのだろう。
でも、酒呑んでるときは、なんのわだかまりもなく楽しそうなんだけどな~、と漏れ聞こえてくる勝たちの笑い声に、深月は思う。
そのとき、清春がなにかを決意したように、
「深月、たまには二人で出かけるか」
と少し明るい声で言ってきた。
え? と振り返ると、
「いや、結婚したら、そういうこともなくなるかと思って。
何処か休みの日に、近場にでも」
と言う。
ちょっとだけ、陽太が現れる前の清春に戻った気がした。
そうだねー、と言いながら考えた深月は、
「あっ、そうだ」
と言った。
「山の中のパン屋さんに行こうよ。
この間、タウン誌に出てたんだよ。
ちょっと変わったパンがいろいろあるんだって。
見たことも食べたこともないようなパンがいっぱいあるって」
と笑ったが、
「いや……。
見たことも食べたこともないようなパンは嫌かな」
と清春は言う。
……どんなの想像してんだ。
そのまましばらく、母屋の笑い声を聞きながら、昔話などして過ごした。