好きになるには理由があります
「抜けるか、チャリで……。
まあ、たまに坊主頭の中学生の集団にも追いかけられるが」
「格好いいからですよ、このクルーザーが」
実は私も船が好きなので、追いかけているというのもあるんですよ、
と深月は思っていたが。
今、言うのはちょっと悔しく、ぐっと黙った。
そこで、少し考える風な顔をした陽太は、
「そういえば、何故、お前が此処に居るんだろうかな」
と言い出す。
「……貴方も覚えてないんですか」
「お前もか」
と言う間も、陽太は片手で深月を抱いていた。
ひーっ。
離してくださいっ、と深月は固まったまま、目だけを動かし、自分の背中に触れている陽太の大きな手を窺おうとする。
「そうだ。
昨日は確か……」
と言いかけた陽太は深月が逃げ腰になっているのに気づき、自分の方に抱き寄せた。
「さっ、触らないでくださいっ」
「……夕べ、散々触ったと思うが」
ひいっ、と小さく声を上げたあと、深月は叫ぶ。
「なんてことしてくれたんですかっ。
私、舞を舞わねばならないのにっ」
まあ、たまに坊主頭の中学生の集団にも追いかけられるが」
「格好いいからですよ、このクルーザーが」
実は私も船が好きなので、追いかけているというのもあるんですよ、
と深月は思っていたが。
今、言うのはちょっと悔しく、ぐっと黙った。
そこで、少し考える風な顔をした陽太は、
「そういえば、何故、お前が此処に居るんだろうかな」
と言い出す。
「……貴方も覚えてないんですか」
「お前もか」
と言う間も、陽太は片手で深月を抱いていた。
ひーっ。
離してくださいっ、と深月は固まったまま、目だけを動かし、自分の背中に触れている陽太の大きな手を窺おうとする。
「そうだ。
昨日は確か……」
と言いかけた陽太は深月が逃げ腰になっているのに気づき、自分の方に抱き寄せた。
「さっ、触らないでくださいっ」
「……夕べ、散々触ったと思うが」
ひいっ、と小さく声を上げたあと、深月は叫ぶ。
「なんてことしてくれたんですかっ。
私、舞を舞わねばならないのにっ」