好きになるには理由があります
 舞……?
と呟いたあとで、陽太は、

「そうか。
 思い出したぞ」
と言う。

「確か夜、港近くの神社を通ったときに、小さな祭りをやっていて、通りすがりに、ふるまい酒をご馳走になったんだ」

「そっ、それはうちの神社ですっ」
と深月は言う。

「すごいジジイが居て。
 あんた、呑みっぷりがいいなと言い出したそのジジイに何杯も呑まされて」

「すごいジジイはいっぱいいるので、誰だかわかりませんね……」

 っていうか、あの祭りがあったってことは、昨日は日曜ではないですか。

 ――ということは……。

「支社長っ、月曜日ですよっ」

 遅刻するっ、と深月は起き上がりかけたが、陽太に腕をつかまれた。

「まだ早い。
 それに、帰っていいとは言ってないぞ」

「あっ、貴方の許可をもらわなくても自力で帰ります!」

 ベッドの下に落ちていたおのれの服を手を伸ばして取ろうとした深月の視界に窓が入った。

 って、此処、海~っ!
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