本当に私のこと好き?
うちの会社は結構大手で海外事業部もあるから届いた書類の内容について姫野に聞きにいくやつらも多かった
そしていつの間にやら「何か困れば総務のお姫様」なんて言われて
確かに優秀だ
俺だって何度か世話になった
「何で姫野?」
「何でだろ」
「アイツ、大酒のみに大食いだぞ」
「はは、前に聞いたよ居酒屋事件」
「うるせー」
「慶太を負かすんだから相当だな」
「女じゃねーよ」
「そこが可愛いんだろ」
可愛いとか…………マジなんだな
泰成と姫野か
悔しいが確かに美男美女だ
親友の彼女があの姫野早苗だと思うと複雑だが、ふつふつと興味が湧いてきた
「お前さ、姫野とはヤったの?」
「は?」
「いや、アイツ色々噂あって」
「噂?」
「パトロンがいるとか、逆に処女だとか」
「……………」
泰成が黙って俺を睨んでいる
こわっ!
「お、俺が言ってんじゃないし!
でも、なんか、謎な女だから正直興味ある」
「処女ならどれだけ良かったか…………」
へぇ、って事は処女じゃなかったんだ?
ボソッと呟いた言葉は無意識なのか?
ぶつぶつと何か言い出した泰成に俺は笑えてきた
本気なんだよな
元々愛情の深い人間だ
自分が認めたヤツには男女関係なく情を注ぐ
そんな男がセフレなんて本当は辛かったはずだ
女と遊びで付き合える男じゃない
姫野って言うのはやっぱり、複雑だけど、本気の相手に出会えて良かったと素直に思えた