本当に私のこと好き?
今、俺が彼女が居ないことを言ったら距離を置かれるかも知れない
佐原からは嫌われてはないことはわかる
もしかしたら、なんて甘い考えは一刀両断された
でも、どうしても諦めるつもりはなかった
振られたから、次になんて気にはならない
どうしても、佐原と付き合いたい
それほどに俺の気持ちは佐原にがっつり拐われていた
今はダメだ
だったら、待ってやる
それまでは仲の良い先輩の座は渡さないし、居座ってやる
モテるのは気付いてたが、お手付きされかけていたとは…………
「先輩は彼女と結婚しないんですか?」
これは、どういう意味だ?
佐原との距離は相変わらず先輩後輩でしかない
佐原からは今まで彼女の事を聞かれた事は無かった
これは、チャンスなのか?
片想い2年が経とうとしていた
26歳の男が何をもたついてるのか
「別れたよ」
「え?」
「彼女とはずいぶん前に別れてたよ、残念なことに結婚の予定もないよ」
「そうなんですか、何か変な事聞いてすみません」
申し訳なさそうに言う姿は完全に俺が振られたと思っているな
でも、そんな事はどうでもいい
もうすぐバレンタインデーだ
佐原は去年もちゃんと渡してくれた
律儀なやつだし、今年もくれるだろう
一発勝負を掛けよう、とメラメラと目の前の獲物を狙っていた
もう、先輩後輩の関係とはおさらばだ