本当に私のこと好き?



「もう、慶太を好きでいるのが辛い………」

「………っっ!りか…………」


私は慶太の手を振り払って走って店を出た
もう、終わりにしよう

慶太の事は忘れよう



「あれ?りかちゃん?」


いつの間にか職場の近くまで走っていたみたい
声を掛けてきたのは部長の早坂さんだった


「部長…………」

「え、りかちゃん?」


部長も私が泣いてるのに気付いたのかも知れない


何だか情けない
彼氏と別れただけで…………
もう、24歳にもなって………


「りかちゃん、ちょっと付き合ってよ」

「え?」

「仕事終わりにコーヒー飲みたかったんだ」


今日は土曜日なのに部長は仕事だったんだ
仕事終わりに申し訳ないと思いながらも
そう言って優しく笑った部長にまた、涙を止める事が出来なかった


「ほら、泣かない
泣いてると店入れないよ
俺、コーヒー飲みたいんだよ~」


いつもは冷静な早坂部長を困らせてるのが自分だと思うと何だか可笑しくて少しだけ笑えた


「うん、やっぱり、りかちゃんは笑ってる方が可愛い」

「奥さんに言いつけます」

「いいよー、りかちゃんだって知ってるだろ?
奥さんもりかちゃん大好きだからね」


実は部長の奥様は私が新人時代の指導係だった美幸さん
結婚して辞めちゃったけど
部長は美幸さんが大好きで
いつもキリッとしている表情も美幸さんの事を話すときは緩む
いや、ニヤけてる……



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