都の剣〜千年越しの初恋〜
犬、猫、鳥、馬、牛、猪、猿、熊など多くの動物霊が次々と闇の中から現れる。

「くそッ!一体一体は弱いがキリがねぇ!」

葉月はそう言いながら、光線を指先から放つ。光を怯えた様子で動物霊は避けた。

「もしかして……」

沙月はツクヨミを探す。ツクヨミは、自分よりも大きな熊の霊を相手にしているところだった。

「ツクヨミ様!」

沙月は熊の霊を水月とともに攻撃する。ツクヨミの体には傷がいくつもできていた。

「ありがとう、沙月」

ツクヨミは優しく微笑む。沙月は「お願いがあるのですが……」と真剣な表情で言った。

動物霊は光線を見て異常に怯え、逃げていく。光が弱点だと沙月は思ったのだ。

今日は新月。空は闇に染まり、月はない。しかし、ツクヨミの力を使えば月の光が現れるはずだ。

「わかった、やってみる!!」

沙月の話を聞くと、すぐにツクヨミは行動に移す。目を閉じ、神経を集中させていく。

しばらくすると、動物霊たちの動きが止まった。そして、怯えたように鳴き始める。
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